従業員の状態把握に努めて、職場復帰後に起こりえる不測の事態に備える

上司と部下

事業所が従業員の職場復帰支援を行う際には「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き(厚生労働省)」を参考に行いますが、復帰支援の最後の仕上げとして、復帰後のフォローも産業医の重要な仕事となります。

職場復帰を無事に果たせても、復帰した従業員の前にはいくつものハードルが立ちはだかります。例えば、療養後に久しぶりに出社する際には「どのような顔をすればいいのか?」「上司・同僚から声をかけられたどう応えればいいのか?」、「自分の席はどうなっているのか?」など業務に対する不安とは別の不安が存在します。

復帰者の大半は、復帰直後の数日に精神的な疲労のピークを向かえ、その後は徐々に軽減することを体験します。復帰後1週間ほど通勤が以前のように継続でき、週明けの月曜日に変わらず出勤できれば初期のハードルは乗り越えたと考えて大丈夫です。

職場に復帰したものだけではなく、復帰者を受け入れる部署にも不安があります。ほとんどの部署ではメンタルヘルスの問題が再発しないように、復帰直後から通常の業務量や責任を与えないように配慮がなされます。

そのため周囲が営業等で出払っているのに自分だけがオフィスに取り残されたり、時間をもてあますことが予想されます。そうすると「自分は職場に貢献できていない」、「自分には役割がない」、「周囲にとって自分はやはり負担になっているのではないか」などマイナスの感情が沸き起こってきます。この時期を耐える忍耐力がが必要となります。

このハードルをクリアして通常の業務に戻ると、今度は「以前のようなパフォーマンスを行なうことができるのか?」という不安に苛まれることがあります。この頃になると上司や同僚も完全なる戦力として復帰者をとらえているので、仕事の量や求められる結果も増えていきます。

繁忙期に自分だけが長期療養していたという負い目もあり、多少無理してでも挽回しようと前のめりになるものの、本来のパフォーマンスを出せるまでには回復しないと改めて実感する時期が存在します。

復帰後にこれまで溜まった仕事を一気に片付けようとしたり、上司から想定以上の仕事量を指示されたりすることで、定期的通院が継続できず服薬も中断という事態が起こりやすくなります。復帰者本人は「職場復帰を果たして早々に、通院での早退は周囲に申し訳ない」と遠慮して、メンタルヘルスの問題が再発することも珍しくありません。

また復帰したものの、徐々に疲労が溜まっていくことも珍しくありません。仕事による疲労は翌日までに回復していることが重要ですが、それを調べるための缶的な方法として、産業医は復帰者に帰宅後の過ごし方を訊くとよいでしょう。

残業をせずに定時に帰宅しているのに、疲労感や倦怠感が続くようだと、以前の症状の再燃・再発が考えられます。職場復帰のフォローは業務に関することがメインになりがちですが、復帰者の生活状況を把握することも重要なポイントとなります。休日の過ごし方を訪ねることも同様です。