腰痛健康診断問診表で現状を把握し、関係者との協議、安全衛生委員会での検討が必要

運転手の職業病

腰痛は一般の中高年の方の罹患率が高くなっていますが、業務上疾病でも災害性腰痛の割合は最も高くなっています(約83%)。

産業医が、一般健康診断の問診・診察のなかで職場における腰痛作業者が多いという印象を受けたらならば、職場における腰痛者数とその程度、職種ごとあるいは作業内容ごとの状況がを把握するために「腰痛健康診断問診表」を活用するのが有効です。

その主な内容は、業務歴、既往歴、腰痛歴、現在の症状(痛みの程度・随伴症状・症状の変動など)、作業の状況(作業場所・姿勢・作業形態・取扱物質など)となっています。

現状把握ができたならば、産業医は職場巡視を行い、腰痛予防という視点で作業状況を把握し、その後、これらの結果を元に衛生管理者・管理者と今後との対応を協議します。

さらに腰痛問題を安全衛生委員会で討議することも望まれます。これらの過程で、職場全体としての腰痛問題の現状とその対策について事業者と協議することも必要になる場合もあります。

職場における予防するためには、労働衛生教育、作業管理、作業環境管理および健康管理(腰痛健康診断とその事後措置、作業前体操、腰痛予防体操)を適切に行い、腰痛の発生要因の排除または軽減に努めるとともに、労働者の健康の保持増進対策を進めることが大切です。これらの一般的な対応は「職場における腰痛予防対策マニュアル(中央労働災害防止協会)」が役に立ちます。

具体的な対策として、腰痛作業者の割合が多い貨物取扱事業場(長距離運転、近距離運送、荷物選別など)における対応を見てみましょう。

椅座位の姿勢を取り続け、腰に振動が加わり、腰部に負担が常にかかった状態にある長時間の車両運転では、小休止・休息(背伸び等の軽い運動をして、筋収縮による疲労回復を図る)を取ることが大切です。

また、座席は、座面・背もたれ角度および腰背部の指示が適当になるように調整したり、車両からの振動をなるべく減衰させる構造の座席を有する車両の採用やクッション等を活用して振動を軽減するのもよいでしょう。

また、荷物の積み卸ろし作業では、長時間の車両の運転から生じる拘束姿勢による末梢血管循環の障害や、一時的な筋力調整不全が起きることもあり運転直後に重量物を取り扱うことは好ましくありません。

とはいっても、実際はある程度の重量物の取り扱いは業務の性質上避けられないことがほとんどなので、その場合は取扱重量制限の徹底で負担を軽減することが現実的な対応となります。

男性労働者が人力のみで取り扱う重量は、55kg以下にして、常時、人力のみで取り扱う場合には、重量が体重の40%以下になるように努め、この重量を超える場合には2人以上で作業を行うことが必要です。

また腰への負担をかけない姿勢で作業が行えるように、@肩より上で荷物を取り扱わない、A床面等から荷物を持ち上げる場合には、片足を前に出し、膝を曲げて腰を十分に下ろしてから荷物を抱える、B荷物を持ち上げる際には呼吸を整え、腹圧を加える、などを心掛けます。