長時間労働への対策は脳・心臓疾患リスクとメンタルヘルスがポイント

月1回以上の算定が必要

労働安全衛生法では、週40時間を超える労働が1ヶ月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が見られる場合には、労働者の申し出を受けて、医師による面接指導を行う必要があるとしています。

長時間労働の対策として産業医が留意すべきなのは、脳・心臓疾患リスクへの対策をとることと、メンタルヘルス対策をとることの2点です。

これらの長時間労働対策を行うことは、@労働安全衛生法を遵守すること、A企業としての安全配慮義務を果たすこと、B企業の社会的責任を果たすこと、C従業員の福利厚生を高めること、D従業員の活性化や組織の活性化を図ることの全ての方向性を持つ企業活動そのものであることを事業者に理解してもらい、会社として長時間労働削減のための明確な方向性を示すことが重要となります。

そこで産業医ができることは、従業員の勤務状況と健康リスクを把握し、そのリスクを回付するための面接を実施したり、長時間労働の対応と会社としての道筋をつけ、その道筋やそれぞれの従業員の役割を明確にするための教育を行うことです。

そのためには、労働者の労働時間、脳・心臓疾患の発症リスク、ストレスについて正しく把握することが欠かせません。しかし、産業医が直接、労働時間を把握することは難しいため、人事労務・総務などのスタッフに情報収集を担ってもらう必要があります。

この場合、長時間労働に該当するか否かの算定は、毎月1回以上、基準日を定めて行うことが重要です。また、サービス残業が行われている会社では、なおさら正確な労働時間を把握することは困難となるので、現場物管理監督に社にその役割を担ってもらう必要があります。

一方で、健康上のリスクがない者にとっての長時間労働は仕事の仕方、させ方に問題があることも多く、このことについては労務管理、目標管理について会社として最高をしてもらうことになるということも、事前の段階で事業者と話し合いをつけておく必要があります。

長時間労働によって引き起こされる脳・心臓疾患の発症リスクを把握することは健診の項目だけでは困難ですが、視覚的に動脈硬化の進行を労働者に示すことができる頚部エコー検査などを利用すれば、長時間労働がもたらす変容を理解してもらいやすくなります。労災保険の二次健康診断等給付制度も利用し、より有効にリスクを減らす活動を行いましょう。